ベリルとは・・・
緑柱石(りょくちゅうせき)(英:ベリル)は、ベリリウムを含む六角柱状の鉱物。金属元素のベリリウムの名前は、この中から発見されたことに由来する。透明で美しいものはカットされ宝石になる。
エメラルドやアクアマリンはこのベリルに属し、同種の鉱物である。
ベリルは、さまざまな色合いを持つ鉱物で、アクアマリンやエメラルドなど、その色合いにより宝石名が付けられています。
純粋なベリルは無色透明で、ゴシェナイトがそれに該当します。緑柱石という和名が付けられているとおり、緑色系の石が目立つベリルですが、
モルガナイトやレッドベリルなど、赤系のものも人気があります。
エメラルド
エメラルドはダイヤモンドなどと並び、世界四大宝石の一つとして非常に有名な石です。
紀元前4000年頃のバビロニアで使われていたのが記録に残る最も古いものです。
鉱物としてはアクアマリンと同じベリルグループに属し、クロムを発色原因とします。
しかし、ベリルグループの中でも極めて産出量が少なく、良質の物は小さな結晶にしか成長しません。
エメラルドは内部に多くの傷を持つのが特徴で、液体、固体、気体の三つの相があります。
エメラルド鉱山の多くはかつては海底にあったため、インクルージョンとして岩塩の結晶や塩水を含むものも多くあります。
更に気泡が入っている物を三相インクルージョンと呼び、神秘的な美しさから非常に高い人気を持っています。
硬度は高い石なのですが、非常に割れやすく、取り扱いには十分な注意が必要です。
産地は、コロンビア・ブラジル・ザンビア・マダガスカルなど
アクアマリン
アクアマリンという名はラテン語で"水"を意味する『アクア』、"海"を意味する『マリン』から由来しています。
呼び名のままの、穏やかで美しい海のような宝石です。
近年、『幸せな結婚を象徴する石』として、女性からの人気が非常に高まってきている石です。
深いマリンブルーの物を一般的に「サンタマリア」若しくは「サンタマリア・アフリカーナ」と呼んでいます。
産地は、ブラジル・スリランカ・マダガスカルなど
レッドベリル
初めてレッドベリルが発見されたのは1905年、美しいトパーズの結晶で有名なアメリカユタ州のトーマス山脈です。
そのトーマス山脈の流紋岩に含まれる半透明の小さな結晶がレッドベリルでした。
過去最大のルースでも7カラットの大きさで、かつ1カラットを超えるものは年に2,3個程度、大半が0.5カラット以下と小さいサイズになります。
レッドベリルは芳醇な赤ワインを連想させるクリアで深い色合いが魅力な宝石で、採石されること自体が稀でかつ、
その中でも宝石質のもののほとんどは1ct未満のものしかありません。
現在は、ハリス一家が細々と採掘しているものの、すでに枯渇しているのではないかとも言われています。
現在流通しているものは以前に採石された石をカットしている状態です。
そのため、上質なレッドベリルは同じカラット数のダイヤモンドよりも非常に高値で取引されています。
産地:アメリカ・メキシコ
ヘリオドール
アクアマリンと同様に鉄を含みますが、色は水色ではなく黄色をしています。この色の違いは三価の鉄であることによります。
最近ではイエローベリルと呼ばれ、更に黄色が濃いものはゴールデンベリルという名称で流通しています。
産地:ブラジル・ロシア・マダガスカル・ナイジェリアなど
モルガナイト
ピンクベリルとも呼ばれています。名前の由来は宝石コレクターでもあったアメリカ人の銀行家、P・J・モルガンに因んで付けられました。
産地:アメリカ・マダガスカル・ブラジルなど
ペツォッタイト
ペツォッタイトは、2002年11月にマダガスカル フィアナランツォア州にあるサカヴァラナ鉱山で発見され 、
翌年の2003年に国際鉱物学連合(IMA)にて、認定された新鉱物です。
ラズベリーのようなピンク色が魅力の石ですが、その産出量は少なく、その中でも宝石としての価値のあるものはまれで、
希少価値の高い宝石として知られています。
宝石質として採石される、そのほとんども、1ctに満たない重さのものが中心で、多くのインクルージョン(内包物)を含んでいます。
ラズベリー色が顕著で、透明度の高いものが最高級とされていますが、インクルージョンもペツォッタイトの特徴のひとつとして、容認されています。
産地:マダガスカル・アフガニスタン・ミャンマー
ゴシェナイト
ベリル(緑柱石)の中でも無色透明なものを、ゴシェナイトと呼びます。命名はアメリカにあるゴーシェンという地名から取られました。
高い屈折率を誇り、ダイヤモンドに近い輝きを有することから、「模造ダイヤモンド」や「ダイヤモンド類似石」として機能していたこともありました。
フォールス ネーム(※1)としてライン・ダイヤモンド(※2)と呼ばれている石はゴシェナイトのことです。
産地:アメリカ・マダガスカル・インド・ロシア・ブラジル・ナイジェリア・スリランカなど
※1 フォールス・ネーム(false name):誤った名称を意味します。見た目の似ている、より価値の高い宝石名を意図的に付けることで、
消費者に錯覚を覚えさせる目的があります。またこれを転用して、“価値の高い宝石のように美しい”ということを表現する目的で、
通称として使用される例もあります。(例:ハーキマー産水晶=ハーキマー・ダイヤモンド)
※2 ライン・ダイヤモンド:ゴシェナイトの他には、ガラスやアクリル樹脂などで作られたラインストーンを指すフォールス ・ネームでもあります。